犬や猫のてんかん発作は、脳内の異常な電気信号により突然発生する神経症状です。発作が起こると驚きや不安を感じてしまう方は少なくありません。特に初めて発作を目の当たりにした場合、何をすれば良いのか戸惑う方も多いでしょう。
今回は犬や猫のてんかん発作について、原因や症状、発作中に取るべき行動などについて解説します。
犬と猫のてんかん発作の症状
てんかん発作が起こると、主に以下のような症状が見られます。
・足をピンと突っ張らせ、体が硬直する(強直性発作)
・足をバタつかせる、体全体がガタガタと震える(間代性発作)
これらのような身体全体に見られる発作は全般発作といいます。一方で1本の足だけピクピクする、何もない宙に向かって噛みつくなどの部分的な発作を焦点発作といいます。
また、発作時には失禁したり、よだれを垂らしたりすることもあります。犬では全般発作、焦点発作ともに見られますが猫では焦点発作の方が起こりやすいです。
てんかん発作の原因と種類
てんかん発作は、脳内に異常な電気信号が発生することにより引き起こされます。その原因には大きく分けて以下の2種類が挙げられます。
<特発性てんかん(先天性てんかん)>
明らかに脳の異常がないにもかかわらず、てんかん発作を起こしてしまう病態です。遺伝性てんかんとも呼ばれ、ジャーマンシェパードやレトリバー犬種、ビーグル、シャム猫で発生しやすいと言われています。
<症候性てんかん(後天性てんかん)>
脳に外傷や病気があったり、中毒症状を起こしたりすることで発作を起こす病態です。腫瘍や事故による外傷、肝臓や腎臓の異常、中毒性物質(薬品や有害植物など)の摂取などが原因となります。
発作が起きたとき、起きた後の対処法
初めて犬や猫が発作を起こしたときは、どうしていいか分からず慌ててしまう方も多いです。実際に発作が起きたらどうすればいいか、また起きた後はどのようにケアすればいいかを以下にまとめます。
【発作がおきたら】
<発作の持続時間を測る>
1度の発作がどれくらい続くかは重症度を推測するうえで重要です。5分以上発作が持続するときは「重積」といって重い症状となってしまうため、できるだけはやく病院を受診する必要があります。
<周囲の危険物を除去する>
ベッドの上などで発作を起こしてしまった場合はそっと下ろしてあげて、落下の危険がないようにしましょう。発作中のバタつきでぶつかると危険なものや、倒れてしまいそうなものが回りにないかを確認してください。
<動画を撮る、日時を記録する>
症状が、実際にてんかん発作かどうかを診断するうえで動画はとても役に立ちます。また、発作後の行動も可能な範囲で撮影すると良いでしょう。ほかにも、発作を起こした日時も記録しておきましょう。
【発作後のケア】
<落ち着いた環境で休ませる>
発作後は犬や猫も混乱し不安を感じているため、静かな場所でゆっくりと落ち着かせましょう。
<水分摂取>
発作後は疲労感から喉が渇くことが多いです。少量ずつ与えましょう。
<食事は1時間ほどあけてから与える>
すぐに食事を与えるとうまく消化できず、嘔吐や下痢の原因になることもあります。
<獣医師の診察を受ける>
初めて発作を起こした場合や、発作の頻度が増えてきた場合は獣医師に相談しましょう。
これらの項目を頭に入れておき、発作を起こした際は冷静に対応できるようにシミュレーションしておくと良いでしょう。
発作中に名前を呼んで身体を強く揺さぶると、かえって刺激となって発作が収まりにくくなります。そのため、自然に収まるまで待つようにしましょう。また無理に押さえつけて動きを止めようとしたり、舌を噛まないように口の中に物をいれたりしてはいけません。お互いのケガの原因になったり、誤飲や窒息を起こしたりすることがあります。
動物病院を受診すべき症状や状態
犬や猫が発作を起こしても、その後元気にしていたら動物病院を受診すべきか迷いますよね。どのようなときに病院を受診すべきか、以下のような基準を参考にしてみてください。
<病院を受診すべき症状>
・発作が5分以上続く
・発作自体が初めて
・発作が落ち着いても様子がおかしい(意識が朦朧としている、立てないなど)
・24時間以内に2回以上発作が起きる
<様子を見ても良い症状>
・2~3分以内には収まり、発作後は犬や猫が普通にしている
・すでにてんかんと診断されており、いわゆる「いつもの発作」である
このような場合は、頻度が増えたり犬や猫の体調が悪化したりしなければ様子を見ても良いでしょう。
特に7歳以上のシニア期の犬や猫は、てんかんを起こす基礎疾患(もとの原因となっている病気)が隠れている可能性が若い子と比べて高いです。そのため、初めての発作でてんかんの診断がついていない場合は様子を見ずにすぐ病院を受診しましょう。
診察・治療について
<問診>
てんかん発作が見られたら、まず状況や症状を詳しく聴取し本当にてんかん発作なのかを慎重に判断します。また、てんかん発作を起こしている様子の動画を持参すると参考になります。
<血液検査>
てんかんであることが疑わしい場合は、血液検査を行い発作を起こすような基礎疾患(腎不全や肝不全、血糖値異常など)がないかを確認します。
<画像診断>
CTやMRIで脳の腫瘍や水頭症などの有無を確認します。
<治療方針の決定>
・後天性てんかんの場合:原因となる疾患の治療を優先します。
・先天性てんかんの場合:抗てんかん薬を用いて発作の頻度を抑える治療を行います。
まとめ
てんかん発作は犬や猫にとって大きな負担となりますが、適切な対応と治療を行うことで生活の質を保つことが可能です。発作の頻度や重症度を記録し、獣医師と連携して治療方針を立てましょう。また、てんかんについて正しく理解し、発作に備えて日頃から冷静に対応できるよう準備を整えておきましょう。